院長コラム

2021.07.28 『インプラント周囲炎の予防と治療』


インプラント周囲の細菌は天然歯(自分の歯)の周囲の細菌と似ていることから、インプラントも天然歯の歯周病対策と同じく、ブラッシングやデンタルフロス(糸ようじ)による清掃が重要です。


インプラントは歯根膜がなく、周囲の血流が少ないため、炎症が起きると簡単に深いところまで波及してしまう可能性が指摘されています。インプラント周囲炎の初期症状は見逃されやすく、気づきにくいため、重症になってからようやく気づくことがあり、フィクスチャー(インプラント本体)を除去しなければならなくなることもあります。早期発見のためには、歯科医院での定期検診を受けることをお勧めします。


インプラント周囲炎と診断されてしまった場合、治療を進めていくことになるのですが、本当のことを言いますと治療法が十分に確立されているわけではありません。症状に応じた対症療法(痛みを取る、炎症を抑えるなど)と再度炎症が起きないような処置(外科的な歯石除去や露出した金属の研磨、カルシウム粉末の吹付けによる汚染物の除去など)、清掃法の徹底による歯垢除去などを状況に合わせて使い分け、対応していくしかありません。それでも症状が治まらない場合や予後不良と判断した場合にはインプラント自体を撤去することが必要となります。


つまり、インプラント周囲炎になってからでは遅く、なる前に予防することが非常に重要なのです。日々清掃を行い、定期検診での予防と早期発見・早期治療を受けることがインプラントを長持ちさせることにつながります。


2021.07.07 『インプラント周囲炎』


インプラントを入れて数年経ち、口の中に違和感があり、見てみると歯肉(歯茎)が赤くなり、腫れていて嫌な臭いもする。急いで歯科医院に行ったところ、「インプラント周囲炎」と言われた。


1度入れたらあとは放っておいても問題なく、ずっと使える。そう考えてお口の中の手入れを怠っていると、思わぬトラブルを招いてしまうかもしれません。


天然歯と比べると、インプラントは周辺に血管が少なく、免疫機能が弱いため、細菌感染や炎症が起きやすい状況にあるといえます。インプラントの周辺にプラーク(歯垢)が溜まってしまうと、まず歯肉(歯茎)に炎症が起きます。これを「インプラント周囲粘膜炎」と言います。この状態であれば、適切な治療を施すことにより、正常な状態に回復させることができます。しかし、この状態になっても放置していると、やがて炎症が骨にまで及びます。こうなると骨が溶け、インプラント周囲炎となり、正常な状態まで回復するのが難しくなってしまいます。さらに、噛み合わせの状態に問題があると、インプラント周囲炎を増悪させてしまい、急激に進行してしまうということもあります。インプラント周囲炎の初期においては、揺れる、膿が溜まるといった症状が出にくいため、気づかないうちに進行してしまうというやっかいな特徴があります。


すぐに気がつき、対処できればよいのですが、長い間放置し、炎症が進んでいることが多く、このような場合、手遅れになる可能性が大きく、再治療の場合には費用と時間がかかってしまいます。


インプラントの周囲は天然歯より炎症が起きやすいため、念入りに清掃(デンタルフロス等の使用を含む)を行う必要があり、噛み合わせのチェックやマウスピース装着による咬合力のコントロールも重要です。


また、初期に自覚症状が少ないため、かかりつけの歯科医院でのクリーニングや診察、レントゲン検査を行い、異常があれば、迅速に対応できるようにすることが肝心です。


2021.06.16 『インプラントの寿命を延ばすために』


インプラントの寿命は、骨の状態(骨密度・厚さ)、骨の吸収の具合、口腔衛生状態、歯周病のなりやすさ、ブラキシズム(歯ぎしり)の有無、喫煙習慣の有無、全身の健康状態、定期健診の受診の有無などによって大きく変わります。長期にわたって使用するにはさまざまな条件を満たす必要があるのです。

よって、インプラント治療の前に、骨の状態や全身の状態についてきちんと検査する必要があります。骨が足りない場合、追加する手術(骨造成術)を行う必要がありますし、全身状態が良くない場合は、前もって問題を解決しておく必要があります。


また、インプラントはチタンでできているため、むし歯になることはありませんが、歯根膜と言うクッション(歯と骨をつなぐ靱帯)がないため噛み合わせの力に対してデリケートで、インプラント周囲炎にもなりやすいとされます。そのため、治療後は天然歯以上に口腔衛生に気をつけなければなりません。とくに問題がなくても、定期健診で噛み合わせや歯周病の検査を行っていくことがインプラントを長持ちさせることにつながります。


インプラントは半永久的なものではありませんが、日々の口の中の清掃(歯磨き)と定期健診を継続することにより、天然歯と同様に長期的予後が期待できます。

インプラントを入れることになったのは、天然歯を喪失したためですが、インプラント治療が終了しても、口の中にはその原因が依然として潜んでいると考えなければなりません。では、その原因はインプラントにどのように影響するのでしょうか。


具体的に挙げれば、歯周病原因菌によるインプラント周囲炎、過大な力によるオッセオインテグレーション(骨結合)への影響、天然歯の変化や喪失にともなう噛み合わせの不調和などです。治療後もインプラントは荒波にさらされていきます。

歯周疾患は慢性疾患的病態を示すといわれていますが、まさに治療終了時は患者さんにとっても、歯科医や衛生士といった歯科従事者にとっても、長いマラソンのスタートラインに立ったにすぎないのです。


2021.05.26 『インプラントの累積生存率』


インプラントの寿命は一概には言えませんが、基本的には長期的に機能するとされています。かつては 5 年間で抜けていないインプラント(生存率)は 90 %と言われていましたが、近年では 97 ~ 98 %が 10 年以上問題なく使用できているという報告があります。一般的には上顎より下顎の方がより生存率が高いとされており、これは骨の量や質が関係していると思われます。また、インプラントは虫歯や歯周病にはなりませんが、清掃が不十分な状態では歯周病菌によりインプラント周囲炎になります。そのインプラント周囲炎の治療法は十分に確立されているわけではなく、インプラント周囲炎になると長期的な予後を予測するのは困難です。


厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」の「歯科インプラント治療のためのQ&A」(平成26年3月31日 日本歯科医学会厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療の問題点と課題等作業班)には、次のような記述があります。


「インプラントの寿命はインプラントが一般的には撤去されるまでの残存期間のことを指しインプラントの成功率とは異なる。インプラントの成功の基準については、1998年のトロント会議でのコンセンサスレポートにより、①インプラントは、患者と歯科医師の両者が満足している。②インプラントに痛み不快感、知覚の変化、感染の兆候がない。③臨床的に診査するとき、個々の連結されていないインプラントは動揺がない。④機能下1年以降の経年的なインプラント周囲の垂直的骨吸収は0.2mm以下である、が挙げられている。いわゆる埋入したインプラントが何年間口腔内で残存・機能するかという問いには(いわゆる寿命)、現在の研究報告を見る限り適切に回答することは困難である。加えて、インプラントの残存率は埋入部位および埋入条件により異なるが、システマティックレビュー等を参考にしたところでは部分および全部欠損症例における 10 ~ 15 年の累積生存率は上顎で約 90 %程度、下顎で 94 %程度である。また抜歯即時埋入や骨移植を伴った埋入では若干生存率が下がるものの 87 〜 92 %程度である。」


また、先述したように生存率はインプラントが脱落したかどうかということなので、たとえ炎症などの問題が起きていても生存していることになります。一方で、トロント会議の基準などを満たす割合がインプラントの成功率と言えます。つまり 10 年間で 90 %以上のインプラントが残るが、そのうちのいくつかには脱落までは至らないインプラント周囲炎などの問題が生じているということになります。


2021.05.06 『インプラント治療を勧めるにあたり注意が必要な場合②』


前回に引き続き、インプラント治療を勧めるにあたって注意が必要な場合について説明します。


喫煙者の方
タバコは口の中の健康にも影響を及ぼします。タバコの煙に含まれるニコチンやタールは歯肉を刺激し、血管を収縮させて血行不良を招き、歯周病の原因となりますし、血流が少ないことでインプラントを支える骨の健康にも影響を与えます。さらに、喫煙は唾液の分泌を抑制するため、歯周病菌などの細菌が増殖しやすい環境を作り出してしまいます。歯周病を防ぎ、骨の健康を維持して歯やインプラントを長持ちさせるため、喫煙の習慣を止めるように指示する歯科医が多いと思います。


骨粗鬆症でビスホスホネート製剤やデノスマブを服用している方
骨粗鬆症の治療薬としてビスホスホネート製剤やデノスマブを服用している患者さんには注意が必要です。この薬は破骨細胞(骨を溶かす細胞)を抑制し、骨の吸収を防ぐことで骨折などのリスクを減らすという効果を持ちます。一方でまだ決定的な機序はわかっておりませんが、骨の代謝(骨は常に破骨細胞に吸収されて、骨芽細胞に添加されることで新しい骨に置き換わっている)を阻害することで抜歯などの外科的処置の際、骨の壊死を引き起こすことがあります。


これをビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw:BRONJ)または骨吸収薬関連顎骨壊死( anti-resorptive-related osteonecrosis of the jaw : ARONJ)、最近ではさらに広い意味で薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)と言います。


もちろん、インプラントも外科処置ですので例外ではありません。MRONJは口腔清掃状況不良やステロイド、糖尿病などでリスクが増加することは知られていますが、現在のところ有効な治療法が確立されていません。よって、このような薬剤を服用している方において、インプラント治療は避けた方が賢明だと考えています。もし、どうしても手術を希望される場合は担当医とよく相談し、リスクを十分ご理解頂いた上で予防的に抗生剤を内服した状態に行う必要があります。


インプラントに過剰に期待がある方
インプラントにしたら絶対に良くなるなど、インプラントに過剰に期待している患者さんをよく見かけますが、この状態で実際治療をしてみると「こうじゃなかった」、「こんなはずはない」となることがよくあります。自身が思い描いていた理想とのギャップが現れる場合もあります。どんな歯科治療にも限界はあります。骨の状態、歯肉(歯茎)の状態、全身状態などによっては、全てが天然歯の時のようにうまくいくとは限りません。治療を開始する前に、しっかり説明を受け、納得した上で治療を開始することが重要であると考えています。


2021.04.13 『インプラント治療を勧めるにあたり注意が必要な場合①』


インプラントを入れても、そもそも天然歯を失った原因が解消されたわけではありません。歯周病、喫煙、糖尿病などの全身疾患による免疫力の低下、骨粗鬆症、ブラキシズム(歯ぎしりやかみしめ)などの原因はそのままにすれば予後にも影響を与えます。このようなリスクのある方がインプラント治療を行う場合、いっそう念入りなケアが必要となります。今回と次回の2回に分けて、6つのケースを説明します。


歯周病、歯周炎で歯磨きができていない方
インプラントの寿命を縮めてしまう原因の1つが歯周病菌です。歯周病菌は歯根やインプラントを支えている骨を溶かし、その脱落を招きます。インプラント治療を行うには歯周病の治療が不可欠です。また、治療後も歯周病の予防・治療がとても重要で、歯周病やインプラント周囲炎を予防するにはプラーク(歯垢)コントロールが大切で、歯間ブラシやフロスの使用も含めた正しい歯磨きと定期的なプラーク除去を行う必要があります。


歯ぎしりや噛みしめの習慣がある方
歯ぎしりや噛みしめは、歯やインプラントに強い力をかけます。過度な負担は歯やインプラントの寿命を縮める原因になります。歯ぎしりは寝ている間に無意識に行っていて、自分で気づかないことが多く、治すのが難しいとされます。


しかし、寝るときの頭の位置を低めにしたり、マウスピースを使用したりすることで、負担を軽減することはできます。マウスピースは歯科で作成できますので、相談してみてください。また、TCH( tooth contacting habit :日常生活におけるくいしばり)、つまり日中の噛みしめも歯やインプラントへ大きな影響を与えます。これに対してもマウスピースや行動療法(普段からの食いしばりに気づいていただく)が有効とされます。


最近では、ほかにボツリヌス毒素を使用した治療法も注目されています。ボツリヌス毒素と聞けば怖く聞こえますが、この毒素には筋弛緩作用(筋肉の力を弱める作用)があり、適切に使用することで安全に大きな効果が得られるという報告もあります。ただし、過度な使用により噛みにくくなったり、あご周りが痩せこけて見えたりするなどの弊害もあります。


糖尿病の方
糖尿病は免疫力を低下させて、骨代謝の異常を招き、骨がもろくなります。そのため歯周病にかかりやすく、歯やインプラントの脱落を招く可能性があります。糖尿病と歯周病の間には相互関係があり、糖尿病が改善されれば歯周病が改善され、歯周病の改善は糖尿病の改善に繋がります。インプラント治療は糖尿病の人でも行えますが、 HbA1c (糖尿病の指標)を正常な値に近づけるようコントロールする必要があり、治療後も長持ちさせるためHbA1cのコントロールが必要です。


2021.03.23 『インプラントと天然歯との違い②』


前回のコラムに続き、インプラントと天然歯の違いについてです。


インプラントと天然歯の違い② 【支える線維の走行の違い】


健康な天然歯には歯に対して垂直な線維があり、これが歯肉(歯茎)としっかり結びついているため、はがれにくく、しかも細菌の侵入が防がれています。いわば天然のバリアがあるため、歯周病細菌に感染しにくいのですが、インプラントにはこの線維がありません。バリアが失われた状態のため、歯肉(歯茎)の炎症、つまりインプラント周囲炎を起こしやすくなっています。


インプラントと天然歯の違い③ 【血液供給の有無】


天然歯には血管が通っていて、血液が供給されています。そのためポケットが炎症を起こしたとき、免疫細胞などが迅速に対応することができます。一方で、血管が通っていないインプラントの周囲は炎症が起きやすく、進行も早い傾向があります。


また、当初のインプラントは清掃しやすくするため、金属部分が歯肉から少し飛び出して見えるように上部構造(クラウン)をしていましたが、最近は臼歯(奥歯)についても審美性を考慮して金属部分を歯肉(歯茎)に隠し、天然歯と同じように見えるタイプが登場しています。そのためインプラントの周りのポケット(歯肉との溝)が5㎜以上の深さになることもあり、ここに細菌が石灰化した歯石などが溜まりやすくなります。天然歯の場合、ポケットが4㎜以上であれば歯周病と診断されます。


前回のコラムで申し上げた噛み合わせの調整や、マウスピースの装着に加え、インプラント治療の後は、歯周病、口腔清掃など総合的な治療・メンテナンスが天然歯以上に必要となるのです。


2021.03.02 『インプラントと天然歯との違い①』


インプラント治療を受け、天然歯(もともと持っている自分の歯)と同じように食べられるようになると、天然歯と同じものと考えてしまう方がいらっしゃいます。しかし、インプラントはあくまでも人工物であり、天然歯とは異なる性質がありますので、その違いに注意して頂く必要があります。大きく分けて3つの違いがありますので、今回と次回の2回に分けて説明させて頂きます。


インプラントと天然歯の違い① 【歯根膜の有無】


天然歯の歯根は「歯根膜」という組織(靭帯)におおわれています。これがクッションの役割を果たしているため、歯を噛み合わせたときの力が和らぎます。


インプラントは骨に直接固定されるので、歯根膜という「クッション」のある天然歯と同じように噛み合わせると大きな負担がかかることになります。また、歯根膜には神経が通っていて、噛み合わせの力をコントロールするセンサーとしての役割を果たしています。歯根膜がないインプラントは、周りの骨や筋肉、顎関節が代替していると考えられており、天然歯の歯根膜と比較し非常に鈍いものとなっています。


これより、噛み合わせの調整には注意を要しますし、ブラキシズム(歯ぎしりや噛みしめなど)によって無意識に強く噛んでしまい、被せ物が欠けたり、取れたり、最悪の場合、インプラントの脱落を引き起こすことがあります。特に睡眠時のブラキシズムはハイリスクということが論文でも発表されており、ケアが重要となります。


これらの理由から、クッション作用を持たないインプラントを守るために、当院では、検診時の噛み合わせのチェックや調整に加えて、睡眠時のマウスピース着用を推奨しています。


2021.01.26 『歯はどのように失われるか②』


前回のコラムでは歯を失う原因のうち、虫歯と歯周病について触れましたが、その予防についてもお話します。虫歯や歯周病の予防にはやはり日々の清掃や定期的なチェックが重要になります。まとめると以下の通りです。


  • ・毎日歯磨きを行い、その際にデンタルフロスも使用する。
  • ・バランスのとれた食事を心がけ、甘いものやファーストフードなどの摂取を控える。
  • ・初期の歯周病の段階や口腔内に変化が見られた時には歯や歯肉(歯茎)などの口腔内検査を行う。
  • ・年に2回は定期健診を受け、クリーニング(歯石除去)と口腔内検査を行う。

プラーク(歯垢)をそのままにしておくと、歯石になることがあります。もし歯石がついてしまったら、自分でどうにかすることはできません。歯科医院でとってもらってください。


虫歯や歯周病に加えて、歯を失う原因の3つ目は噛み合せです。噛み合せが強い人は歯を噛み壊してしまいます。これにう蝕(むし歯)や歯周病が合わせて生じると急速に歯を失うことになりかねません。
とくに睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり)やTCH( tooth contacting habit:日常生活におけるくいしばり)などは歯に過大な負担を与えます。これに対応するにはマウスピースの装着や普段から意識的に上下の歯を離しておくなど、噛みしめに対して気を配っておく必要があります。


2021.01.05 『歯はどのように失われるか①』


インプラント治療により、自前の歯とほとんど変わらない機能を得られますが、言うまでも無く、自前の歯が長持ちするなら、それに越したことはありません。
では、そもそも、歯はなぜ失われるのでしょうか。今回と次回の2回に分けてお話します。


歯を失う3大原因とされるのが、う蝕(むし歯)、歯周病、噛み合わせの不良です。このうち、よく知られているのが、う蝕(むし歯)、歯周病です。原因はともに細菌の塊であるプラーク(歯垢)です。食後、歯のまわりに残った食べカスをそのままにしておくと、そこは細菌の巣と化します。この細菌の巣こそがプラーク(歯垢)です。細菌が産出する酸や毒素が、それぞれ、う蝕(むし歯)と歯周病の引き金となるわけです。


う蝕(むし歯)は、プラーク(歯垢)中のミュータンス菌(Streptococcus mutans、Streptococcus sobrinus)が糖分を分解して酸を作り出すことで起きます。歯の表面が次第に酸で溶けていくのです。


歯周病は、歯と歯肉の境目にたまったプラーク(歯垢)中の歯周病菌が歯肉に炎症をひきおこします。歯肉が腫れることで、ポケット状の深い溝ができます。この歯周ポケットは、プラーク(歯垢)・歯周病菌のたまり場になります。歯周病菌は繁殖して、歯を支えている骨である歯槽骨を溶かす原因となります。歯周病菌は、Porphyromonas gingivalis、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Tannerella forsythensis、Treponema denticolaなどが有名です。歯を支えている骨のほとんどが溶けてしまうと最後は歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病には次のような症状があります。当てはまる症状がある方はぜひお早めにご相談ください。


  • ・歯磨きやデンタルフロスを使用しているときに出血する。
  • ・歯肉(歯茎)が赤く腫れ上がる。
  • ・歯肉(歯茎)が減退してくる。
  • ・食べ物を噛むときに痛みを感じる。
  • ・歯石や歯垢がたまる。
  • ・歯がグラグラしてきたり、歯の位置が動いた感じになったりする。
  • ・口臭がひどくなったり、つねに口の中が変な味になったりする。
  • ・知覚過敏がひどくなる。

2020.09.23 『奥歯の安定の重要性』


2020年9月19日付の日経新聞に奥歯の噛みしめによる影響について書かれている記事を目にしました。記事には、奥歯の役割は食物を噛み潰し、消化しやすい形態にすること、加えてかみ合わせを安定させることにあるため、奥歯を失った患者さんでは、「何とか食事はできているので、できるだけ入れ歯は入れたくない」という方がいますが、奥歯は治療したほうが望ましいということが書かれていました。
また、スポーツにおいては噛みしめによりパフォーマンスが向上することや、日常生活の中で無意識に噛みしめを行っていることが長期的に奥歯にダメージとなり、奥歯の安定がなければ前歯にも悪影響が及ぶということにも言及されていました。


この記事でも書かれているように、奥歯の安定は良好な口腔内環境を作るためにとても重要です。奥歯を破壊するきっかけとなる歯ぎしりや噛みしめは今やほとんどの人がしていて、それらは無意識的なものでもあり、なかなか止められないということも言われています。その影響を可及的に抑えるためには就寝時のマウスピースの装着が有効です。
また、奥歯がない状態では前方の歯に抜けた奥歯の分の力の負担もかかり、歯周病も進行しやすくなることからさらに歯を失うきっかけにもなりますので、奥歯を失った場合は食事に支障がなくても放置せず、入れ歯やインプラントなど何らかの形で治療されることをお勧めします。


(2020年9月19日 日経新聞 元気のココロ 奥歯のかみしめ 意外な影響 
 大鶴歯科口腔外科クリニック院長 大鶴 洋 先生 より一部引用)


2020.07.08 『銀イオン抗菌水の使用について』


当院では使用するすべての水に銀イオン抗菌水を使用しております。銀イオンはブドウ球菌やサルモネラ菌をはじめとする病原菌や、ポリオウィルス、ロタウィルスなどのウィルスに対しての効果が認められています。その他の特徴として次のことが挙げられます。


①除菌持続性
Ag+は揮発しないため、長期間にわたり除菌効果が持続します。


②人体に優しい
Ag+は無害無臭で飲んでも安心です。銀は食品添加物として認可されており、飲料水の除菌にも応用され、体内に取り込まれた
 銀は速やかに排出されることから、漢方なども含め、様々な分野に多く利用されています。


③脱臭効果
排水溝などの水回りの防臭対策に効果的です。


④カビ、ヌメリ除去
Ag+水を使用することでカビやヌメリなどの発生を抑制します。


また、一般的なコロナウィルスに対しては効果が確認されており、新型コロナウィルスに対しての効果は研究段階ですが、効果が期待されるということです。


当院では、銀イオン抗菌水の使用を含め、新型コロナウィルスの感染予防策を講じた上での通常診療を行っておりますので、ご不明な点などございましたらスタッフまでご質問下さい。


2020.04.15 『新型コロナウイルス対策について』


現在、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界で猛威を奮い、感染拡大があらゆるメディアで連日報道され、増加の一途をたどる感染者数や政府による様々な自粛要請の発表により、皆様不安な日々をお過ごしのことと存じます。


当院におきましては、エアロゾル対策として口腔外バキュームの使用や光触媒フィルターを介した医療用空気清浄機の設置稼働、次亜塩素酸水の噴霧、アルコールや次亜塩素酸水による診療室・待合室の清拭、定期的な換気、待合室での待機時間の可能な限りの縮小等を行い、感染防止に最大限配慮した上での通常診療を行っております。(詳細はトップページの「新型コロナウイルス対策について」をご参照下さい。)


少し前の週刊誌で、免疫力を向上させる方法として口腔内の徹底的な清掃が取り上げられている記事を目にしました。歯周病と様々な全身疾患との関連は以前から学会等で指摘されており、患者さんの普段からのセルフケアが非常に重要です。通常の歯ブラシでの清掃に加え、ブラシが届かない歯と歯の間の掃除にはデンタルフロスの使用が有効で、さらに洗口剤も併用するとより高い清掃効果が期待できます。これらはインプラント治療を受けられた方にも共通することで、インプラントは虫歯にはなりませんが、清掃が不十分だと口腔内の細菌がたまり、インプラント周囲炎を惹起しますし、その細菌が体に流れて免疫の低下に繋がることもあります。


ご自身のお口の中の状態に合わせた適切なケアを行うことが重要ですので、ご不明な点などございましたらお気軽にご相談下さい。


2020.04.07 『インプラントの治療期間』


当院でのインプラントの治療期間についてお話させて頂きます。


通常、2ピースインプラントは次手術で顎の骨にインプラントを埋め込み、その後、2次手術によりアバットメント(芯棒)を立て、上部構造(被せ物)を装着します。


一般的な方法としては、1次手術後、インプラントの骨への結合を待つため、上部構造を被せるまでに待機時間を設けます。教科書的には上顎で6カ月、下顎で3カ月待つことになります。その後、2次手術を行い、芯棒を立て、その傷口がきれいになる2~3週間後に型取りをして仮歯を作り、問題がなければ上部構造を被せます。


これに加え、骨が非常に少ない方では骨造成術(骨をつくる手術)が必要となる場合があり、追加で長期の治療期間が必要となります。


骨や歯肉の状態が良ければ、埋入後数日~数カ月以内に仮歯を入れる「早期荷重」という方法が取られることも多くあります。また、抜歯した直後にインプラントを埋め込む「即時埋入」という方法もあります。治療期間が大幅に短縮され、患者さんの手術の負担も減りますが、インプラントを固定するだけの骨が十分にあり、良好な歯肉状態が条件となります。


このように治療が長期に及ぶ場合もありますので、十分にご理解を頂いた上で治療を始める必要があります。歯科診療は患者さんと歯科医の信頼関係の上に成り立つものです。治療前にしっかり担当医と話し合うことが必要不可欠です。


なお、当院では、可能な限りの治療期間の短縮を目指し、健康状態、骨や歯肉の状態に問題がない方であれば1回法の手術を行い、術後、下顎で1.5ヶ月、上顎で3ヶ月後に上部構造の型取り、装着を行っております。


2020.03.24 『インプラントの種類・手術法(術式)の違い』


インプラントにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると1ピースインプラントと2ピースインプラントに分類されます。アバットメント(被せ物のための芯棒)が取り外し可能か一体となっているかの違いです。1ピースインプラントは治療が簡便で早く、芯棒が外れることがないのですが、接着剤で被せ物を装着するので、被せ物の修理が困難です。2ピースインプラントの特徴を以下にまとめます。


・修理が比較的容易。


・ブリッジなどにおいて被せ物をつなげやすい。


・セメント止めとネジ止めが選択可能。


・(要介護、認知症高齢者に対して)インプラントブリッジからインプラントオーバーデンチャー(インプラントを用いた義歯)への設計変更が容易(義歯用のアバットメントへ変更が可能であるため)、口腔内の衛生を保つため、被せ物を外して、歯茎の中に眠らせることができる。


超高齢社会を迎えた現在、学会等では2ピースインプラントが主流となっています。


また、上部構造(被せ物)の固定方法にセメント固定とスクリュー固定があります。セメント固定はネジ穴が見えないため審美性に優れるのですが、被せ物が壊れた場合外しての修理が困難です。スクリュー固定は取り外しての修理が比較的容易ですが、 ネジ穴が見えやすいです。ネジ穴を見えにくくする角度付きのアバットメントもありますが、それでも見えてしまう場合には当院ではセメント固定で対応しています。


さらに、手術方法の違いに1回法と2回法があります。簡単にいえば、インプラントが骨と結合するまで歯肉(歯茎)をかぶせておくか、芯棒を立てておくかの違いです。2回法では骨と結合するまで余計な力がかかりにくいので骨が少ない場合に有効ですが、2回目の手術で芯棒を立てる必要があります。これらのことを踏まえ、当院においては最近では基本的に2ピースインプラントで、骨や歯肉の状態が良好であれば1回法の手術を行っております。固定方法は前歯部でネジ穴が見える症例以外ではスクリュー固定としています。


2020.03.04 『インプラント治療を受ける前に理解しておいていただきたいこと』


インプラント治療を受けるにあたって、ご理解頂きたいことをまとめれば次のようなことがあります。


・歯根膜がないために食感がつかみにくい場合がある(石を噛んでいるようなどの訴えを経験したことがあります)。


・歯間に食べかすが残ることがある(歯間ブラシ等を使用して除去する必要がある)。


・上部構造をポーセレン(陶材)で治療した場合、カチカチ音がしたり、数年後に欠けたり、といった問題が生じることがある。


・義歯からインプラントにした場合、口全体の膨らみが小さくなる感じがある。


・歯冠形態は審美性はもちろん、清掃性も考慮した形態となるため、患者さんの思う理想の歯の形とは異なることがある。


・天然歯とインプラントをつないだブリッジはできないことから、患者さんのイメージする必要本数よりも実際には多くのインプラントが必要なことがある。


もちろん担当する歯科医はその都度できる限り対処しますが、上記の問題点が生じることがあります。インプラント治療を始める前にこれらの可能性について十分担当医と話し合い治療を進めていくことが重要であると考えています。


2020.01.22 『歯科インプラントがもたらす多くの恩恵』


インプラントの大きなメリットに、食べ物が美味しく食べられるようになるということがあります。食事は人生の大きな喜びの一つであり、食べ物をしっかり噛めることは全身の健康にもつながります。


見た目や美しさもまるで本物の歯のような自然な外観を取り戻すことができます。実際に治療を受けられれば、治療前後の表情の変化にすぐに気づかれるでしょう。口もとが変わるだけで顔貌がこれほど劇的に変わるのか、と驚かれるはずです。


このように生活の質を改善するために数々のメリットがあるインプラントですが、否定的な報道がなされたことがあり、不安を感じている人も少なくないようです(後のコラムでお話させて頂きます)。


もしかすると、あなたの周りに、以前のインプラント治療で苦い経験をした人がいて、「止めたほうがよい」とアドバイスするかもしれません。


かつて、インプラントの術式が確立しておらず、形状や材質もさまざまなものが提案されるという、まさに試行錯誤の時代がありました。その後、技術改良は進みましたが、インプラント治療をめぐる問題点はいまだに残されています。例えば、大学でのインプラント教育の遅れや学会におけるガイドラインの制定の遅れなどです。


インプラント治療は問題点もありますが、適応症例を見極めて適切に行えば、多くの恩恵をもたらし、長い期間自分で噛める状態を保ち、そのことを通して、全身の健康づくりにも役立つものだと私は思っています。


2019.12.25 『インプラントという選択』


前回のコラムで歯を失った場合の選択肢としてブリッジ、義歯を紹介しましたが、今回はもう一つの選択肢インプラント治療についてです。


歯の抜けた部位にチタン製の人工歯根を手術で埋め込み、被せもの(クラウン)を装着する方法です(インプラント治療では、クラウンを「上部構造」と呼びます)。現在主流のチタン製のインプラントは身体に優しく、骨と強固に結合し、顎の骨には噛み合せの刺激が伝わり、認知症予防にも効果があることが知られています。また、ブリッジや義歯と比べると、残っている健康な歯を削る量は少なく、バネをかけたりしないため、負担の程度は少なくなります。


残念ながら、インプラントも永久的な物ではありませんが、日々の清掃と定期的なチェックを継続することで長期的に良好な予後が期待でき、見た目も機能的にもほとんど天然歯と同様に食事を楽しむことが可能となります。


通常、インプラントを埋入した後、上部構造をかぶせる前に数ヵ月~1年の期間をおきます。骨の量が少ない場合には人工の骨やご自身の骨を利用して顎の骨を作る骨造成術が必要なこともあり、この場合は待機期間が長くなります。しっかりとインプラントと骨が結合したことを確認した後、2次手術にてアバットメント(芯棒の部分)を立て、仮歯で形や噛み合わせの状態をみて、最後に上部構造をかぶせます。上部構造はポーセレン(陶材)、金属、プラスチック、ジルコニアを単独、または組み合わせて作製されます。


さまざまなメリットのあるインプラント治療法ですが、誰もがこの治療を受けることができるとは限りません。歯周組織や骨の状態が良いことは必須で、全身の健康状態や服用薬剤によっては適応が難しい場合があります。また、健康保険が適応されず、経済的な問題もあります。ブリッジ、義歯、インプラントのどの治療方法が現在のあなたにあっているのか、ご相談ください。


2019.11.20 『歯を失ってしまったら』


う蝕(むし歯)や歯周病、事故などさまざまな理由で歯を失うことがあります。自分の歯をなくしたという事実は大変ショックでしょう。しかし、歯が抜けてしまったからといって、あなたの素敵な笑顔をあきらめる必要はありません。審美歯科治療には若々しい容貌と本来の歯の機能を取り戻すことができる様々な方法があります。


失った歯を修復するための治療法は、コアにクラウンを被せる方法(いわゆる差し歯)、ブリッジ、義歯(入れ歯)、インプラントに大別されます。


差し歯は歯冠(歯の頭の部分)だけ失い、歯根(歯の根っこ)が残っている場合に適応されます。歯根にコアという芯棒を立てて、その上にクラウン(被せもの)を装着するものです。歯根まで失ってしまった場合や歯根の状態が悪い場合には適応されません。


ブリッジは失った歯が少ない場合に多く適応されます。失った歯の両隣の歯を削って、歯のない部分にダミーの歯をつなげた橋渡しをしたクラウンをかぶせる治療法です。失った部分の前後の歯がしっかりしていないと適応が難しいことがあります。また、歯の
生えている方向によっては先行して神経を取る必要がある場合もあります。


歯を失い、歯科医院を訪れたら、歯科医師から「ブリッジはどうですか?」と勧められることが多いかもしれません。セラミック
ブリッジは見た目も天然歯に近くすることができ、機能的にも優れています。あなたの笑顔はまるで今まで、う蝕(むし歯)がなかったか、または歯を失ったことがなかったかのように美しく回復します。保険適応のブリッジは一部を除いて銀歯となります。


一方、多くの歯またはすべての歯がなくなった場合、作製するのが義歯(入れ歯)です。義歯には残っている歯にクラスプ(バネ)をひっかける部分床義歯(部分入れ歯)と歯が全てない時に吸盤のように吸着させる総義歯(総入れ歯)があります。義歯も噛むという機能や容貌を取り戻すことに有用ではありますが、自分の歯と比較するとやはり限界はあります。


2019.10.30 『歯を抜く前に知っておいてほしいこと』


う蝕(むし歯)や歯周病、歯の破折など、いろいろな原因によって歯を抜かなければならなくなることがあります。歯科医院に行き、「もう抜かなければなりません」と言われてショックを受けることもあるでしょう。「むし歯が深いから」「根っこの病気が
大きいから」と言われて抜かれた経験がある方も多いのではないでしょうか。


揺れが大きかったり、明らかに歯根が割れているケースでは歯を抜かなければならないことが多いです。しかし、時には患者様が
思われる見た目がきれいな歯を抜かなければならないと診断されることもあります。見た目がきれいでも、歯周病や根の先の病気で骨が溶けていると、膿んだ歯のバイ菌が全身に流れる可能性があり、早めに抜歯した方が良いとの考え方もあります。
また、アメリカや北欧では日本より抜歯の基準が低く、比較的早期に抜歯する傾向があり、それに倣った考えをもつ歯科医師であれば抜歯を勧めることが多いのかもしれません。可及的な保存を行うか、抜歯を行うかは歯科医師による解釈の違いが大きいところです。将来的なお口の中の見通しを立てつつ、患者様の希望を考えると私自身も判断に苦慮するときがあります。


私の知っている限りでは、健康な歯を無理に抜いてインプラントを勧める歯科医師はおりません。いきなり「抜きましょう」と言われ、不安に思った場合は、担当医にもう一度よく相談してみて下さい。どうしても抜かなければならない場合以外は可及的な保存の方法をきっと考えてくれるでしょう。


一度抜いた歯は二度と生えてきません。インプラント治療によりある程度機能・審美的に回復させることができるようになりましたが、自分の歯より良いものはありません。歯を抜くことに対して慎重な態度でいることも大切だと思います。


2019.10.16 『良い歯は健康のもと』



歯は健康と美しさを維持するうえで重要な役割を担っています。


健康の面でいえば、食事のとき、歯で良く噛むことは長寿の条件の一つと考えられています。歯が失われれば、食べられない物が出てくるため、栄養のバランスが崩れやすくなりますし、よく噛まないまま物を呑み込めば、消化器官に負担をかけることになります。


また、よく噛むことで、唾液の分泌が促されます。唾液には抗酸化作用や抗菌作用をもつ成分が含まれていることが報告されています。さらに、よく噛むことは脳の活性化につながり、認知症を予防するとも言われます。実際、歯が多く残っている人や義歯(入れ歯)でしっかり噛めている人は、認知症になるリスクが少ないとの報告があります。


もちろん歯を失うと容貌の変化も生じます。老若男女、誰しもできれば一生義歯など入れずに綺麗な自分の歯で過ごしたいと考えているのではないでしょうか。つまりこれらから、歯が失われると、深刻な健康上の問題が引き起こされ、容貌も変化する可能性があるということです。


2019.08.28 『インプラントの難症例とは?』


インプラント治療は歯を失ったところに、ネジのようなもの(フィクスチャー)を顎の骨(歯槽骨)に埋め込む治療法です。なお、「インプラント」は日本語では「人工歯根」と訳されます。


人工の歯根を骨の中に埋め込むため、歯周病や加齢などで顎の骨(歯槽骨)が十分に残っていない場合には、すぐにインプラントを埋め込む事ができません。骨が非常に少ないところへのインプラント埋め込み(埋入)手術には、土台となる骨を誘導、移植するか、神経を移動する必要があります。当院では、特に難症例の場合には三井記念病院の津山医師、東京大学病院の西條医師を招聘し、骨移植を行わず土台部分の骨を形成するサイナスリフト法(上顎洞底挙上術)や、腸骨移植による骨造成術や下歯槽神経移動術を担当して頂いています。


2007年には東京の歯科医院でインプラント治療を受けた患者様が亡くなるという事態が起きてしまいました。私たちはこのようなことが起こらないように、術中に細心の注意を払うことはもちろん、術前にも十分なrisk/benefitの説明と話し合いを重ねて、ご納得頂いた上で最適の治療を進めていくことを最も大切にしています。


2019.08.07 『インプラント治療を提供できて良かった』


前回、前々回のコラムのように喜んで頂ける患者さんを見るたびにインプラント治療を提供できて良かったと心から思います。
今から約30年前、当院でのインプラント治療を開始したばかりの頃は、最新医療を徳島で提供したいという想いが先行していましたが、今はどんな最新の医療技術も設備も患者さんの求める生活を実現するための手段に過ぎないと思うようになりました。


噛むことによる刺激は認知症予防にも繋がるとの報告もあり、いつまでも健康でアクティブな生活を送れるようにするためには、何でもしっかりと噛んで食べられることが必要不可欠です。総入れ歯も良いのですが、口腔の複雑な動きの中ではどうしても動いて満足に噛めなかったり、樹脂という材料の特性上、経年劣化したりしてしまいます。
また、入れ歯の姿を他人に見られたくないという方も多くいらっしゃいます。自分の歯と同じような見た目で、しっかり噛めるインプラント治療は本当に意義深いと強く感じています。


インプラント治療は何もご高齢の方だけのものではありません。事故や虫歯のために歯を一部分だけ失った方にも有用な治療方法です。理由によらず、歯を失った方の生活を取り戻すことが出来る、それがインプラント治療です。


2019.07.31 『すばらしい患者さんとの出会い(2)』


前回のコラムに続き、もうひとりご紹介したい方がいらっしゃいます。この方は70代の女性の方です。下顎の入れ歯が動いて食事をすると痛いので、新しくしたいと来院されました。


作成時にはしっかりフィットしている入れ歯でも、時間と共に顎の骨がやせてきて、どうしてもずれてしまいます。インプラント治療も提案しましたが、費用面から保険の範囲で入れ歯を作ってほしいと強く希望されました。
総義歯(総入れ歯)を作成し、何度か調整を重ねるうちに、食事中の痛みはなくなったようですが、表情などからあまり満足されていない御様子でした。気になっていたところ、突然息子さんから電話が掛かってきました。息子さんは「費用は自分が責任をもって支払うので、母にインプラントを入れてあげて欲しい。」とおっしゃったのです。詳しくお話を伺ってみると、不便そうに食事される様子や、入れ歯を見られるのが嫌なのか、笑顔が減ったお母さんの姿がとても寂しく感じられたようです。


このような経緯があり、All-on-4によるインプラント治療を行ったところ、まるで自分の歯のように噛めると大変喜んで頂くことができました。総入れ歯が入っていた時とはまるで違う満足そうな表情がとても印象的で忘れられない患者さんとなりました。


2019.07.10 『すばらしい患者さんとの出会い(1)』


患者さんとの出会いは、私の喜びであると共に学びの機会になります。今も心に残る印象的な患者さんのお話をご紹介させていただきたいと思います。80代の男性の方です。最初に来院された時は足の手術をされたばかりで、歩行器を使っての歩行でした。あまりお元気そうではないように思いました。しかし、ご本人はとても意欲的な方で「人生は密度であり、歳だから仕方がないと諦めるのは嫌だ。」とおっしゃり、これからの人生を楽しむために色々な美味しいものを食べてみたいと強く希望されたため、インプラント治療を行いました。


インプラントを入れたことで、いろんな美味しいものを食べられるようになったと明るい表情で話されたのがとても印象的でした。手術の後も検診に来て下さりました。しばらくすると杖で来院されるようになり、やがて杖なしで通院をされるようになったのです。歯の検診だけでなく、足のリハビリも熱心にされていたようです。そのご様子を拝見して、人間は気持ち次第で元気になれると教えていただいたと共に、インプラントがご快復に役立ったのだと嬉しくてたまらない気持ちになりました。今では、奥さんとお二人で旅行もされ、その地の名物を食べ歩くことを楽しまれています。検診の際、私も各地のお土産を頂き、そのたびに喜びをかみしめています。それが何よりお元気の証拠なのですから、私も自然と笑顔になるのです。


「いくつになっても恋していたい・・・そういうあなたを全面的にサポートします。」


この当院のキャッチフレーズが浮かんだのも、患者さんの笑顔と土産話を聞いている時だったような気がします。


2019.06.26 『患者さんとの対話を大切にしています』


もともと私は人と話すことが得意な方ではなかったので、歯科医師になってすぐの駆け出しの頃は患者さんへの治療説明などは本当に苦労しました。しかし、苦手な中でも何とか分かってもらいたい一心で説明していくうちに、少しずつ患者さんから「先生を信頼しています。先生にお任せします。」といったお言葉を頂けるようになりました。そんな嬉しいお言葉を頂くことで、話す事への苦手意識より患者さんに納得して頂いた時の嬉しさが上回り、患者さんとコミュニケーションを取ることが楽しくなりました。


患者さんとの会話によって、歯科医という仕事の楽しさ、やりがいなどを分からせて頂き、それゆえに患者さんとの会話やコミュニケーションに重点を置いています。また、当院では、インフォームドコンセントを大切にし、患者様との対話の中から最適と考えられる治療法を提案し、ご納得頂けた上で治療を開始することを徹底しています。


これからも患者さんとの対話を大切にしたデンタルクリニックでありたいと思います。


2019.06.19  『院長コラム開始のお知らせ』


当院におきましては、昭和63年に開院し、皆様に支えられて今年で31年目を迎えることができました。患者様はもちろんのこと、当院に関わる全ての方のおかげであると日々感謝しております。


さて、今年は平成から令和へと元号が変わり、私どもも気持ちを新たに日々の診療に当たらせて頂いております。新たなスタートの一環として、当院のウェブページ内に「院長コラム」を作成しようと思いました。
インプラント治療のことや、日々の診療で感じたことなどを皆様に少しでもお伝えできればと考え、このコラムを始めることにしました。


定期的に更新する予定ですので、お時間ある方はご覧頂けますと幸いです。


 

 

米沢歯科クリニック


〒770-8055
徳島県徳島市山城町東浜傍示 番外17
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診療日時表

 

【2021年8月の休診日】 【2021年9月の休診日】
4日(水)、8日(日)、9日(月)、12日(木)、13日(金)、14日(土)、15日(日)、18日(水)、25日(水)、29日(日) 1日(水)、8日(水)、12日(日)、15日(水)、19日(日)、20日(月)、23日(木)、29日(水)